
乾物は、もともと冷蔵庫のない時代に食品を長期保存するために編み出されたものです。しかし、乾燥する過程で旨味が加わったり、栄養価がアップしたりと嬉しい効果が発見され、現在では、健康によい食品としても知られています。 今回は、毎日の食事に使いやすい乾物、4つをご紹介します。
【干し大根】
一般的な「切り干し大根」のほか、大根を太く裂いてから干した「割り干し大根」、大根を茹でてから干した「茹で干し大根」、大根を薄い輪切りにして干した「丸切り大根」などがあります。いずれも生の大根とは違う風味と歯ごたえが魅力で、さまざまな料理に活用できます。乾燥させることでカリウム・カルシウム・鉄・食物繊維量などが増加し、高血圧予防や貧血予防、便秘改善に期待できます。
【干ししいたけ】
干ししいたけは乾燥させることで、生のしいたけにはあまり含まれない「グアニル酸」が生成され、旨味や風味がアップします。栄養素で特に注目したいのが、「エリタデニン」です。エリタデニンはしいたけとマッシュルームにしか含まれていない成分で、コレステロールを下げる効果があります。ただ、戻し汁に成分が溶け出してしまうので、汁も戻したしいたけと一緒に使うとよいでしょう。
【凍り(こおり)豆腐】
名の通り、豆腐を凍らせてから乾燥させた乾物で、「高野豆腐」や「凍み(しみ)豆腐」とも呼ばれています。木綿豆腐に比べると、たんぱく質や脂質、亜鉛・カルシウム・鉄などのミネラルが豊富です。脂質にはα-リノレン酸が含まれ、コレステロールを低下させて動脈硬化の予防やアレルギー症状の改善に役立ちます。
【ひじき】
ひじきは通常、生のままでは渋みが強すぎて食べることが出来きません。そのため、蒸したり、茹でてから適当な長さに切り、乾燥させたものが多く出回っています。ほかの海藻と同様にミネラルが多く、特にカルシウムは海藻の中でトップクラスと言われるほど豊富です。ほかにも食物繊維や抗酸化作用のあるβ-カロテン、脂肪燃焼に関わる海藻特有の成分「フコキサンチン」も含まれます。
【乾物の保存方法と戻し方】
乾物は、長期保存出来ることが嬉しい食品です。しかし、保存方法が悪いと、風味が落ちてしまったり、カビや虫が発生する場合があるので注意が必要です。高温多湿の場所を避け、直射日光の当たらない場所で保存しましょう。封を開けたものは、ジッパー付きの袋や密閉容器に入れ、より湿度の少ない、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。そのときに乾燥剤を一緒に入れておくと、より日持ちします。
今回ご紹介した乾物は、ほとんどのものが料理をする前に戻してから使います。乾物により、ベストな戻し時間は異なりますので、袋の表示通りに戻して使いましょう。
干し大根、干ししいたけは「約4倍」、凍り豆腐は「約6倍」、ひじき(芽ひじき)は「約8倍」に戻るので、使うときの参考にしてください。
ごはんを作っていて、ちょっと具材が足りなかった…。というときにも乾物は重宝します。
どんな料理とも相性がよいので、乾物を上手に活用し、料理のレパートリーを増やしてみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター
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