歳時記を知ろう 11月

歳時記を知ろう 11月

当初、歳時記(歳事記)は、太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。現在では、「食」や「暮らし」・「季節」といった様々な形で四季や行事を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。今回は11月の歳時記をご紹介します。

【霜月(しもつき)】

霜月は11月の別名です。
諸説ありますが、秋が終わり、冬に向かう頃なので、「霜が降る月」から来たとする説が有力です。
そのほか、10月の神無月を「上の月」とし、反対に11月を「下な月」と呼び「しもづき」に変化した説や、太陽光が弱くなっていく時期なので、「しぼむつき」から変化したとする説、収穫を神に祈る行事から「食物月(おしものづき)」と呼ばれたなどがあります。

【11月の行事など(2021年)】

3日:文化の日
「自由と平和を愛し、文化をすすめる日(内閣府HPより抜粋)。」
昭和21年11月3日は日本国憲法公布日(施行は翌年5月3日)です。平和と文化を重んじる憲法という事で、昭和23年に公布・施行された「祝日法」に則り、11月3日を「文化の日」としました。
皇居では文化勲章の授与式が行われ、日本各地で文化や芸術にちなんだ催しが行われます。

7日:立冬(りっとう)
冬が始まる日。日差しも弱まり、朝夕の冷え込みがより一層増していき、初霜や木枯らしが吹きます。
この日から立春前日までを冬としています。

11日:亥の子(いのこ)※または亥の子祝い(いのこいわい)ともいう
旧暦10月(現在の11月頃)は亥の月。
最初の亥の日、亥の刻(21時~23時)にイノシシの形を模した亥の子餅を食べ、収穫祝いや無病息災を祝う日。また、亥は陰陽五行によると水の性質に属するとされているので、この日に暖房器具を出すと火事にならないとされています。
茶道の世界では炉開きを行う日です。現在は毎年11月最初の亥の日を「亥の子」としています。

14日:十日夜(とおかんや)
旧暦の10月10日は収穫を終え、田の神が山へ帰る日とされ、「十日夜」という行事を行います。
カカシに供え物をしたり、一緒にお月見をします。
十五夜・十三夜と並び「三月見」と呼ばれ、この3日全てが晴れると縁起が良いとされています。

15日:七五三
3歳では髪置き(男・女)、5歳では袴着(男)、7歳では帯解き(女)と子どもの成長を願う行事。
もとは武家や公家でそれぞれ行われていた行事で、時代や階級によって儀式の方法や年齢・性別など様々でした。
諸説ありますが、徳川家5代将軍綱吉が息子徳松を祝った日が11月15日だったため、その日にちなみ七五三の日にしたとされるのが有力です。
現在の形になったのは明治時代ですが、全国的に普及したのは戦後になってからです。

22日:小雪(しょうせつ)
だんだんと寒さが増し、地域によっては雪が降り始める頃にあたりますが、雪の降り方もまだ本格的でない時期。
冬本番までもう少し。

23日:勤労感謝の日・新嘗祭(にいなめさい)
現在は作られるものや、働いている人々に感謝する日となっていますが、もとは五穀の収穫を祝い、感謝する新嘗祭に由来しています。新嘗祭は天皇がその年に初めて取れた穀物を神に供え、収穫出来た事を感謝し、自らもそれを口にする宮中行事です。
現在も皇室では新嘗祭を執り行っており、宮中恒例祭典としては最も重要な儀式です。天皇陛下自らお育てになった穀物も収穫し、供えているそうです。
※宮内庁HPより一部抜粋、再編しています。

【11月の味覚】

りんご・新米・さつま芋・ほうれん草・みかん・れんこん
かわはぎ・きんき・ひらめ・毛がに・甲いか など

【千歳飴が長い理由】

千歳飴は長寿を願う飴で、始まりは江戸時代。飴を長くのばして「寿命飴」「千年飴」と銘打って売り出され、後に「千歳飴」となりました。
浅草寺で飴売りをしていた人が考案したと言われています。
当時は子どもが病気で亡くなる事も多く、無事成長する事は今以上にかけがえのない事でした。
袋には鶴や亀・松竹梅など、長寿を連想させる縁起物の絵柄が描かれ、歳の数と同じ本数の飴を入れると良いとされています。


歳時記を通して、それぞれの季節に日本の生活に根付いた言伝えや行事があり、自分の国の事を深く知る事が出来ているように感じます。
何気ない、ふとした瞬間や物事に今一度目を向けてみると、気持ちがほっこりする事に出会えるかもしれません。
歳時記はそうした事へのきっかけになるような気がします。

Text by さゆり/食育インストラクター

 

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