歳時記を知ろう 4月

歳時記を知ろう 4月

当初、歳時記(歳事記)は、太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。現在では、「食」や「暮らし」・「季節」といった様々な形で四季や行事を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。今回は4月の歳時記をご紹介します。

【卯月(うづき)】

卯月は4月の別名です。
諸説ありますが、「卯の花(うのはな)」が盛りを迎えることから「卯の花月(うのはなづき)」→「卯月」となったとする説が有力です。
その他、稲の穂を植える時期にあたるので、「植月(うつき)」が転じたとする説や、「産」や「初」の「う」が転じたとする説など様々です。
※卯の花は、空木(うつぎ)と呼ばれる枝の中が空洞になる植物の花で、小さく白い綺麗な花が咲きます。料理名の「卯の花」はこの植物の花に似ている白いおからを使うので、この名が付いたとされています。

【4月の行事など(2021年)】

4日:清明(せいめい)
若葉が出て花が咲き誇り、すべてのものが清らかで生き生きとする頃。
沖縄では『清明祭(シーミー)』(または『御清明(ウシーミー)』ともいう)と呼ばれる先祖供養の風習があります。
親戚が集まって門中墓で先祖供養をし、お供え物をします。お供え後は豚・鶏・魚を蒸した御三味(ウサンミ)や泡盛をいただきながら三絃(さんしん)の音に合わせて歌い踊ります。
※御三味:地域によってかまぼこ・三枚肉(ばら肉)・昆布を使う場合もあるようです。
※三絃:中国から伝わったとされる三味線の原型の楽器。

17日:春土用入り(はるどよういり)
土用は夏土用が有名ですが、立春・立夏・立秋・立冬の前、それぞれ約18日間を土用と言います。
土用は次の季節への準備期間のような時期になります。
立夏前約18日間を「春の土用」といい、今年は4月17日が土用入り、5月4日が土用明けです。

20日:穀雨(こくう)
たくさんの穀物を潤す春の雨が降る頃。雨が降る事で、種蒔きに適した時期になってきます。
二十四節気のひとつで、立夏前日までを指します。
穀雨が過ぎればいよいよ夏到来です。

29日:昭和の日
「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み国の将来に思いをいたす日(内閣府HPより抜粋)」、それを祝し、国民の祝日となっています。
昭和天皇の誕生日でしたので、昭和時代は「天皇誕生日」として祝日になっていました。
その後、昭和天皇の崩御に伴い、「みどりの日」(祝日)となりましたが、国民の祝日に関する法律の一部改正により、2007年(平成19年)から「昭和の日」(祝日)となりました。

【4月の味覚】

アスパラガス・たらの芽・木の芽・三つ葉・さやえんどう・新ごぼう・よもぎ
桜鯛・めばる・鯵・さざえ・いとより・ほたるいか・初鰹 など

【お花見】

4月は満開の桜の下でお花見をするのが日本の風物詩ですね。春になったなと実感します。
お花見は平安貴族が桜を愛でながら歌を詠んだり、宴を催した事が始まりとされています。
江戸時代になると、桜が各地に植えられて名所と呼ばれる場所がたくさん出来、春の楽しみのひとつとして各地に広まっていったようです。
また、春は桜の木に田の神が宿るとされたため、豊作祈願をする目的もあったようです。
さて、桜を愛でつつ楽しみなのが…「食べ物」ではないでしょうか。
現在はデパートや各地の販売店で売っているお花見弁当を購入し、出かける方も多いと思います。
中には持ち寄りで作っていく方もいらっしゃるでしょう。
特にこれといった決まりはないようですが、せっかくこの時期しか見られない桜の花の下でいただく食事ですので、持ち寄りなどで作る場合は季節の物を使ってみてはいかがでしょう。
例えば、おにぎりの具をグリーンピースの豆ごはんにしたり、卵焼きに菜の花や三つ葉などを加えたり、魚も旬の物を入れるなどし、いつもの定番メニューに旬の食材をプラスして持ち寄れば、よりお花見が楽しくなりますよ。

春はなぜかワクワクする季節です。
まだまだコロナの影響で外出を控えている方も多いかと思いますが、暖かく過ごしやすい気候になってきますので、少し外に出て気分をリフレッシュするのもよいですね。

Text by さゆり/食育インストラクター

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