実りの秋でもある10月は、ふっくらつやつやの新米が出回る季節です。米のほかにも穀物はありますが、なぜ日本では米が主食になったのでしょうか?
【日本の風土にあった作物「米」】
「小麦」、「トウモロコシ」と並んで「世界三大穀物」といわれている「米」。米の歴史は古く、日本では縄文時代後期から食べられ、弥生時代には稲作が本格的に始まったとされています。稲作が始まった理由として挙げられるのが、それまで狩猟や採集、漁猟に頼っていた人々が、人類の増加や気候の変化によって食糧難となり、より確実に食料を確保するためだと考えられています。
そして、日本の気候が稲の栽培に適していることや、長期保存できること、さらに日本人の味の好みによく合った食べ物であることから栽培が進み、のちに主食として食べられていくようになりました。
【米がお金の代わり!?今よりも貴重な昔の米】
平安時代になると、現代のご飯に近い「強飯(こわいい)」と「姫飯(ひめいい)」と呼ばれるものが出てきましたが、一般の人が食べる事はほとんどなく、主に食していたのは上流階級の人でした。今のようなご飯の炊き方が広まってきたのは、江戸時代中期からと言われています。しかし、このご飯を食べられたのも、まだ上流階級の人だけでした。当時は米作りの収穫量が今と比べものにならないほど少なく、そのお米も農民は年貢として納めなくてはならなかったので手元に残るのはわずかでした。そのため、普段はアワやヒエなどの雑穀を食べたりし、貴重な米は節句や大切な行事のときに食べていました。
【米の分類】
■玄米もみ殻だけを除いたものです。精米したものよりミネラル、ビタミン、食物繊維が多く含まれていますが、消化が悪いので、意識してよく噛んで食べるようにしてください。
■発芽玄米
玄米を水に浸して芽をわずかに発芽させたものです。血液の上昇を抑える「GABA(ギャバ)」が多く含まれることで、近年注目されています。
■胚芽精米
玄米からぬか層のみを取り除き、胚芽を残るように精米したものです。ぬか層が除かれているので、玄米のようなかたさはなく、精白米より栄養価が高いのが特徴です。
■精白米
玄米を精米し、胚乳だけの状態にしたものです。一般にご飯として食べられるうるち米と、餅やおこわなどに用いられるもち米に大きく分けられます。玄米より栄養価は低くなりますが、消化吸収がよく、食べやすいです。
【米の保存方法】
米は常温に置いておくと室内の湿気を吸って傷む原因になり、おいしさも失われてしまいます。購入したら冷蔵庫の野菜室に入れて保存するのがおすすめです。保存するときは、購入した米袋から密閉容器や密閉袋、キレイに洗って乾燥させたペットボトルなどに移すことで湿気やにおい移りを防ぐことが出来ます。
どんな料理とも相性のよい「米」。
ぜひ、この時期ならではの新米を味わってみてはいかがでしょう。
Text by まち/食育インストラクター
-
カテゴリ