
自炊に中食・外食と、食事の選択肢が増えた現代では、一日三食を食べることは決して難しいことではなくなっています。 しかし、そんな現代だからこそ起きる栄養の問題もあるのです。
【新型栄養失調とは?】
現代の日本人にじわじわと増えている栄養の問題の一つに、新型栄養失調と呼ばれるものがあります。栄養失調と聞くと、戦後や災害時などの特殊な状況下で発生するもので、ごく普通の生活を営んでいる場合には無縁のもの…と考えるかもしれません。
しかし、新型栄養失調は「エネルギーは十分すぎるほど摂っているけれど、その他の栄養素が不足している状況」であったり、「極端な食事制限ダイエットで特定の栄養素が不足している状況」などで起こります。いずれのケースも、食事そのものは食べているので、本人は自覚症状が無いままに栄養失調に陥っているのが大きな特徴です。
また、新型栄養失調になると肌トラブルや貧血・怪我の回復が遅れるなど、日常的な不調が起こりやすくなる傾向がありますが、重篤な症状が出るのはずっと後になってからなので、日常的な不調はストレスのせいだろう、と軽く考えてしまいがちです。
【不足しやすい栄養素とは?】
エネルギーは人間が生きるために必要なものですが、それをうまく利用するためには、他の栄養素もバランスよく摂る必要があるので、エネルギーだけを摂ったとしても、それだけでは健康維持は難しいものです。さらに、食の欧米化が進み、外食や中食などで常に美味しいものを食べられる環境が整った現代の日本人は、脂質の摂取量が格段に増えています。そのため、エネルギーだけは栄養過多の状態になりやすく、新型栄養失調に陥りやすいのです。
脂質の摂取比率が高くなると、それ以外で主要なエネルギー源となる、たんぱく質や炭水化物の摂取量が少なくなりがちです。
その他には食物繊維、ビタミンではビタミンA、ビタミンB1、ビタミンDなど、ミネラルではカルシウムや鉄、亜鉛などが不足しやすい栄養素です。
これらの不足しやすい栄養素を一度に補給できる食品はないので、肉や魚・卵・大豆製品などをメインにした主菜と、野菜を使ったおかずをうまく組み合わせて、様々な食品をバランスよく食べるように心がけるとよいでしょう。肉や魚でも脂質の多い部位や揚げ物など、脂質が多くなりがちな調理法は控えるのも効果的です。
人間が生きるためにはエネルギーが必要ですが、それを効率よく使うためには他の栄養素の働きが欠かせません。
栄養が偏っていないか、自分の食事内容を定期的にチェックしてみるとよいですね!
Text by はむこ/食育インストラクター
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