料理に欠かせない「塩」について

料理に欠かせない「塩」について

料理に欠かせない調味料の「塩」は、味付けだけでなく、さまざまな調理効果が期待出来ます。そして、私たちが健康に過ごすためにもとても大切なもので、体の機能を正常に保つ役割も担っています。

【塩の歴史】

日本でいつから採るようになり、利用されていたのかは定かではありませんが、出土された土器によって、縄文時代の終わりごろには塩が利用されていたのではないかと考えられています。
現在の塩作りと近い製法が行われ出したのは、弥生時代。海藻に塩水をかけて濃い塩水を集め、煮詰めて作る「藻塩焼き」が登場しました。その後、江戸時代には瀬戸内に塩田が発達し、全国の約8割の塩が生産され、塩作りが広まって行きました。

【塩の調理効果】

●脱水効果
食材に塩を振ると、内部の水分を外に出し、代わりに塩分をしみ込ませる効果があります。
これは、浸透圧の働きによるもので、漬物や魚の下ごしらえなどに利用されます。

●たんぱく質の弾力を増す効果
挽き肉やすり身などに塩を入れて混ぜると互いの結着力が高まり、弾力のある仕上がりになります。
この性質を使って作られているのが、ハムやウインナー、かまぼこなどです。また、小麦粉を捏ねるときに塩水を加えることで粘りが増し、強いグルテンが形成されます。これにより、パンが膨らみ、うどんにコシが生まれます。

●たんぱく質をかためる効果
たんぱく質は加熱するとかたまる性質を持っていますが、塩にはこの作用を促す働きがあります。
そのため、卵をゆでるときに塩を加えると、殻が割れても白身がはみ出しにくくなります。さらに、肉や魚に塩を振ってから焼くと、たんぱく質が早くかたまり、うま味をとじ込めることが出来ます。

●変色防止効果
塩分濃度1%程度の塩水には、りんごやじゃがいもなどの変色を抑えてくれる効果があります。
これは、食材に含まれる酵素が酸化するのを塩が防止するからです。青菜をゆでるときに塩を加えると同様の効果が得られ、色よく仕上がります。

【普段の塩の使い方を見直してみよう】

塩は料理に欠かせないものですが、摂りすぎると体によくありません。
健康な成人の1日の食塩摂取量は、「男性 7.5g未満」、「女性 6.5g未満」を目標値に定めています。この量は、小さじスプーンで換算すると約1杯分です。
「私はそんなに使ってないから大丈夫!」と思っている人もいるかも知れませんが、塩は加工食品にも多く使われているので注意が必要です。買い物時に食品の栄養成分表示を見るクセをつけるのも良いかもしれませんね。

ちょっとした効果を知るだけで料理の幅が広がります。塩を上手に使っておいしく、体に優しい食事作りを心がけましょう。

Text by まち/食育インストラクター
 

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