「味の相互作用」という言葉を知っていますか。 聞きなれない言葉ですが、実は調理や食事の時に何気なく行っている事なのです!
【身近にある相互作用】
味の相互作用とは、「2種類以上の味を感じさせる物質が混ざった時にお互いが何らかの緩衝をする事で、味の感じ方に変化を起こす作用」の事をいいます。相互作用には「相乗」・「対比」・「抑制」などの効果あり、調理科学という分野に分類されます。科学と言われると難しく思われるかもしれませんが、このような現象を知る事で、美味しい料理を作るヒントが見えてきます。
それでは、先程挙げた「3つの相互作用」についてみていきましょう。
【相乗効果】
味の相乗効果とは、「同じ系統の味や旨味を合わせる事でそれらがより一層強調される」事で、有名なものとしては「かつおと昆布の混合出汁」が挙げられるでしょう。「かつお出汁」と「昆布出汁」はそれぞれを単体で使用しても美味しいですが、両方を合わせて取った出汁は、グッと旨味が強くなり美味しさが増します。これはかつお節の持つ「イノシン酸」と昆布の持つ「グルタミン酸」という旨味成分が合わさった事で、旨味の相乗効果が生まれ美味しさが強調されたためです。
【対比効果】
次に対比効果です。味の対比効果は「異なる2種類の味を混ぜると、一方の味を強く感じる」もので、出汁に塩を加えると「出汁の旨味が強まる」、あんこやスイカに塩を加えると「甘味が強まる」などが挙げられます。
【抑制効果】
では、抑制効果はどうでしょうか。抑制は言葉の通り「味を抑える(弱める)効果」で、コーヒーに砂糖などの「甘味を加える事で、苦味を弱くする」、塩辛い漬物に酢のような「酸味を加える事で塩味を抑える」といった「異なる味の一方を抑え込む」効果を指します。
すし飯や酢の物など酸味をベースとしたものに「塩や砂糖(塩味や甘味)を加える」のも、酸味を抑える効果となります。
対比と抑制は似ていますが、一方は「強める」、もう一方は「弱める」効果なので、その違いをしっかりと覚えておくと良いですね。
いかがでしたか。
このように料理には様々な理論的根拠があり、その仕組みを理解すると味付けで迷った時に何を足せばよいかなどの参考にもなります。
「相互作用」という言葉は難しいですが、「味の足し算引き算」として覚えておくと身近に感じられると思いますので、味付けに迷ったら思い出してみて下さいね☆
Text by さゆり/食育インストラクター
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