覚えておきたい料理用語①:水にまつわる用語

覚えておきたい料理用語①:水にまつわる用語

単純に「水につける」と言っても、その目的はさまざまです。 いずれも美味しい料理に仕上げるための大切な工程ですから、行う理由も含め、まとめて覚えてしまいましょう。

【ちょっとだけ抜けてほしいの!】

野菜にはえぐみや苦味、渋味を感じる成分が含まれているものがあります。これらを「灰汁(あく)」と言い、美味しく食べられるよう色々な方法で「灰汁抜き」します。これは、切った野菜を水に浸けることで灰汁の成分を水に出すという工程になります。また、切った面が空気に触れて黒ずむのを防ぎ「色を保つ」働きもあります。これを「灰汁止め」や「色止め」と言ったり、その工程のことを指し「水にさらす」と言います。なお、灰汁だけでなく、玉ねぎや白髪ねぎの辛みを抜きたい時にも「水にさらす」ことがあります。浸ける水分を酢水に変えたら「酢水にさらす」と言い、灰汁の強いれんこんを白く仕上げたい時などに行います。酢水は水3カップに対して酢大さじ1くらい、切った食材の大きさにもよりますが、5~10分くらいを目安にすると良いでしょう。いずれにしても長時間浸けていると風味や栄養まで溶けだしてしまうので気をつけましょう。

【ほどよく入ってね♪】

今度は、水分を野菜に浸透させるために「水につける」場合を紹介しましょう。レタスなど葉物野菜を15分程度水に浸けて「パリッと」させれば、シャキシャキとした食感を出すことができます。また、和食の刺身に添えてある「つま」などを水に浸ける場合があります。大根のつまはパリッとさせるために浸けますが、ラディッシュの薄切りのように、水分が細胞に入ると湾曲する細工をした食材には、その変化を利用することがあります。なお、少ししおれた野菜も水に浸けることでハリが出てきますが、バジルやミントなどは香りも飛んでしまうので、花をいけるように水を吸わせると良いでしょう。この他に水に浸けるのは干しシイタケなどの乾物で、「もどす」ために行います。乾物は素材の中まで水分が入っている状態にしないと、せっかくのうま味が十分に引き出せなかったり、芯が残っているような固さが出てしまうので、きちんと戻しましょう。乾物は水で戻す場合もありますが、熱湯や茹でて戻す場合もあるので、商品を購入した際の注意書きを読んで使いましょう。なお、乾物も戻しすぎに注意した方が良いですよ。水分を吸いすぎてしまうと食感を失う恐れがあります。

【もっともっと水のチカラを利用しましょう】

レバーの臭みを抜くために氷水に浸けることもあります。牛乳を使う場合も多いですが、いずれも1時間程度を目安に浸け、その後はしっかりと水けを拭き取ることで臭みが取れます。また、加熱した食材を氷水に浸けて急速に冷やすと効果的なことがあります。例えば、トマトを丸ごと数秒湯につけ、急速に氷水に浸けると皮がむきやすくなる「湯むき」や、魚の生臭さをとる下ごしらえとして、熱湯にさっと浸けた魚を氷水で急冷すると、中までは加熱はされず、表面が白っぽくなり鱗や血合いなどが取れやすくなる効果があります。その後、改めて煮汁で煮ると、生臭さがなく美味しく仕上がります。ほうれん草などの青菜類は茹でた後、高温のままだと色が悪くなるので、氷水にとれば色鮮やかな仕上がりとなります。これを「色止め」と言います。

さらに細かくみると食材に合わせて色々な手法がありますが、まずはこれらをベースにちょっとひと手間かけた料理に挑戦してみませんか。Text by ゆず/食育インストラクター記事提供元:食育ずかん

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