この料理はどこの生まれ?郷土料理をご紹介 きりたんぽ編

この料理はどこの生まれ?郷土料理をご紹介 きりたんぽ編

郷土料理の歴史やそのルーツ・エピソードをご紹介するシリーズ。 今回は米どころとして有名な秋田県を代表する郷土料理、きりたんぽについてご紹介します。

【なぜ、「きりたんぽ」と呼ばれているの?】

きりたんぽの発祥については、県北部の鹿角(かづの)地方で生まれたと考えられています。
当時の猟師や炭焼きなど、山に籠る仕事を生業にしていた人々が木の棒に握り飯を刺して焼いたことが始まりなのだとか。
名前については諸説ありますが、木の棒におにぎりを潰して刺した形状がガマの穂に似ていたことから、「短い穂→たんぽ」と呼ばれた説が有力です。
現在では「たんぽ」ではなく「きりたんぽ」の名で流通していますが、これはたんぽを短く切って、鍋に入りやすく加工した「切ったたんぽ」から生まれた名前なのですね。

【「きりたんぽ」の食べ方】

きりたんぽの食べ方は焼いて甘味噌などを塗って食べる方法もありますが、よりメジャーなのが鍋料理です。
鶏(※最初はキジだったとか)のガラをじっくり煮出したスープに、ごぼうやせりなどの野菜と焼き上げたきりたんぽを入れて煮込む、寒さの厳しい東北地方ならではの、体が温まる鍋料理です。
栄養バランスも良く、一つの鍋で米(主食)・肉(主菜)・野菜(副菜)がとれるので、山仕事をする人にはとても合理的なアウトドア料理だったと考えられます。
ちなみに、もとは庶民の食事でしたが、南部藩主が巡視のために秋田を訪れた時に献上したというエピソードもあり、おもてなし料理としての側面も併せ持つユニークな料理です。秋田県内でも特にきりたんぽにゆかりの深い鹿角市や近隣の大館市では、現在でも米の収穫を終えた時や冠婚葬祭のタイミングなどで、きりたんぽ鍋を囲むことがあるそうですよ。


きりたんぽは独特の形状とエピソードを持つ郷土料理ですが、材料はいたってシンプルで、ご飯さえあれば簡単に作ることが可能です。
美味しい新米が出回るこれからの季節。自宅できりたんぽづくりにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

Text by はむこ/食育インストラクター
 

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