お彼岸とは?「ぼたもち」と「おはぎ」は何が違うの?

お彼岸とは?「ぼたもち」と「おはぎ」は何が違うの?

春の彼岸は「春分の日」、秋の彼岸は「秋分の日」を中心とした前後3日を含む7日間がお彼岸です。この日はお墓参りにいき、ご先祖様を供養する日です。

【なぜ、この日が彼岸なの?】

お彼岸は日本独自の仏教行事です。
仏教では、私たちが生きている世界(この世)は東側の「此岸(しがん)」、仏様たちが住む西側の世界(あの世)を「彼岸(ひがん)」と呼びます。
太陽が真東からのぼり、真西にしずむ春分と秋分の日は、此岸と彼岸がもっとも近くなり、通じやすいとされてきたことから、この日に先祖を供養するようになりました。

【「ぼたもち」と「おはぎ」の違い】

お彼岸のお供え物として有名なのが、「ぼたもち」と「おはぎ」です。
どちらも炊いたもち米やうるち米を潰して丸め、あんこで包んだものですが、もとは形状が異なっていました。
「ぼたもち」はぼたん(牡丹)の花のように大きな丸い形、「おはぎ」ははぎ(萩)の花のように細長い俵型で作られていたようです。
また、外側を覆うあんこもぼたもちは「こしあん」、おはぎは「粒あん」という違いがありました。これは昔の小豆の収穫時期に関係しています。秋に収穫したばかりの小豆は皮がやわらかいのでおはぎには粒あんが、収穫時期から時間が経った春には、小豆の皮がかたくなっているため、皮を除いたこしあんが使われていました。
ただ、それぞれの地域で定義が異なるほか、現在では呼び名を区別することも少なくなってきています。

【小豆の赤い色が邪気や災厄を払う!?】

小豆は「古事記」の五穀のひとつとして登場するほど、食用としての歴史が古い穀物です。
古くは、赤い色が邪気や災厄を払い、福をもたらすと考えられていました。その小豆を使ったぼたもちやおはぎをご先祖様にお供えすることで感謝を伝えるとともに、それを食べることで、ご先祖様や神様の力を自分の体の中にとり込むという意味があったようです。
さらに、小豆には食べて嬉しい栄養効果もいっぱいあります。
赤い色はポリフェノールによるもので、赤ワインの約2倍とも言われるほど豊富に含まれています。野菜などに含まれるポリフェノールは調理の際にほとんどが流れ出てしまうのに対し、小豆のポリフェノールは流出が少ないのが特徴です。ポリフェノールは強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防に役立つだけでなく、新陳代謝をアップさせ、冷えの改善や美肌などが期待できます。このほか、腸の動きを活発にし便秘解消に働く「食物繊維」や、血流をよくしたり、脂肪の吸収に働く「サポニン」、体内の余分な塩分を排出し、むくみの予防・改善に効果のある「カリウム」などが含まれています。


私たちの暮らしに寄り添う、お彼岸の風習。
その意味を理解し、ご先祖様との大切な時間を過ごしましょう。

Text by まち/食育インストラクター

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