歳時記を知ろう 2月

歳時記を知ろう 2月

当初、歳時記(歳事記)は、太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。現在では、「食」や「暮らし」・「季節」といった様々な形で四季や行事を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。今回は2月の歳時記をご紹介します。

【如月(きさらぎ)】

如月は2月の別名です。
諸説ありますが、寒さから「衣をさらに重ね着する月」→「衣更着月」から転じたとする説が有力です。
その他、「草木が生えてくる月」→「生更木」や「気候が暖かくなる月」→「気更来」に転じたとする説もあります。
 

【2月の行事など(2021年)】

2日:節分(せつぶん)
本来、節分は季節の分かれ目を意味し、立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ前日を指し、年4回あります。
その中でも立春は、一年の始まりは春から始まると考えられていた旧暦時代に正月と同じ位大切な日とされていました。現在、節分といえば立春の前日の事を指しますが、これは旧暦時代の名残ともいえますね。

3日:立春(りっしゅん)
寒さの中にも春のきざしが感じられてくる頃。
立春以降、初めて吹く強い南風を「春一番」と呼びます。
春告げ鳥といわれる鶯(うぐいす)が鳴き始めるのももうすぐです。

3日:初午(はつうま)
稲荷神社の祭日。全国各地の稲荷神社で家内安全・商売繁盛などを祈願します。
稲荷神社の「いなり」は「稲生り(いなり)」という意味があり、田の神様を祀っています。稲荷神社の入り口にいる狐は、その昔、春先になると山から田に来てねずみを食べ、秋にまた戻っていった事から田の神の使いとされ、祀られています。
初午の時は、狐の好物とされる油揚げをはじめ、お赤飯や団子、しもつかれ(北関東を中心とした郷土料理)などをお供えし、いただきます。稲荷神社の名と同じ食べ物「稲荷寿司(お稲荷さん)は狐の好物を人もいただけるようにと作られたのが始まりとされています。形も東日本では俵型(米俵を模して)、西日本では三角(狐の耳を模して)が一般的です。

8日:針供養
使っている間に傷んでしまった針を供養すると共に、縫物が上達するようにとの祈りを捧げる日。
針は固い物に刺して使う事が多いので、針供養の日だけは作業をせずに豆腐やコンニャクの様な柔らかい物に刺して神社に納めます。12月8日に行うところもあります。

11日:建国記念の日
建国をしのび、国を愛する心を養う日。※内閣府H.P.より抜粋
初代天皇の神武天皇(じんむてんのう)が紀元前660年、国を建国したとされる日。それを祝し、国民の祝日となっています。
 

【2月の味覚】

ふきのとう・カリフラワー・さやえんどう・からし菜・菜の花・冬キャベツ・芽キャベツ
白魚・にしん・いわな・ほたて貝・トビウオ など
 

【節分の食べ物】

節分といえば豆まき・福茶・いわし・柊(食べ物ではないですが…)が伝統的です。
豆まきは本来、一家の主や年男・年女・厄年の人が行うものとされてきましたが、現在では一家の主が鬼役になって、家族が豆をまく家庭も多いのではないでしょうか。豆まきが終わると、歳の数+1粒の豆をいただきますが、年齢が進むとかなりの数を食べなくてはいけませんね…。
そんな時に飲みたいのが福茶です。
福茶は豆まき用の福豆3粒・塩昆布・梅干を湯のみに入れてお湯を注いだもの。これをいただくと、歳の数の豆を食べなくても、同じご利益があるとされています。また、地方によっては、歳の数の福豆を器に入れ、お茶を注いで飲むというところもあります。
節分といえば「恵方巻でしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は比較的新しい風習で、関西地方が発祥です。諸説ありますが、大阪の商人が七福神にあやかって7種類の食材を使って太巻きを作り、歳徳神(としとくじん)がいらっしゃる方角を向き、無言で丸ごと一本食べると、無病息災や商売繁盛にご利益があるとして始めたといわれています。
その他、地域によっては次の日の立春が一年の始まりとされていた名残りで、年越しそばのようなものをいただいたり、大きなものをいただくと縁起が良いとされ、くじらをいただく地域もあるようです。
いわし・柊は鬼が「いわしの臭い」と「トゲトゲしている柊の葉」が苦手というところからきています。いわしの頭を焼き、柊に刺して玄関に吊るしておくと、鬼が入ってこないというわけです。
※歳徳神は陰陽家が正月に祀る神で、その年の歳徳神がいる方角を恵方といい、縁起が良いとされているそうです。恵方神・正月様・歳神とも呼ばれています。

まだまだ寒さは続きますが、春まであともう少し!
体調に気を付けながら頑張りましょう。

Text by さゆり/食育インストラクター

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