甘くてみずみずしい…桃のお話

甘くてみずみずしい…桃のお話

日本で古くから親しまれている果物の一つ、桃。夏から初秋にかけて、さまざまな品種が出回ります。 今回はそんな桃についてのお話です。

【桃の歴史】

桃は中国が原産とされ、少なくとも紀元前には食用化が始まっていたようです。
孔子の詩経にも桃の記述があり、結婚を祝い、安産を祈願する象徴として桃が登場します。中国の影響を受けた日本でも桃は神秘的な果実として扱われ、古事記や日本書紀で書かれています。さらに、最も有名なおとぎ話の一つに桃太郎があります。
そんな歴史ある果物の桃ですが、実は私たちにとって身近な、甘くて柔らかく、瑞々しい桃は明治時代になってから流通したもので、それまでは観賞用として桃の花を楽しむことが多かったそうです。江戸時代ぐらいまでの桃の実は、小さめで固く、酸味も強いため、そのまま食用とするのではなく、生薬などで使われていました。

【桃のおいしい食べ方】

現在日本で流通している白桃は、水分の含有量が多く、汗で失われやすいカリウムなどのミネラルを含むので、夏に食べるのにぴったりです。
暑いのでついつい冷蔵庫に入れて保存してしまいがちですが、桃は常温で置いておくと追熟して甘くなる果物です。そのため、購入したら常温で置いておき、食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れるようにすると、瑞々しく柔らかい桃を味わうことができます。
ちなみに、皮の下は桃の香りが最も強い部分です。そのため、皮ごと食べるのもおすすめです。皮ごと煮てコンポートなどにすると、桃の皮由来の淡いピンク色がシロップに溶け出て印象が華やかになります。また、生でも食べることができます。
一つ注意が必要なのは、皮には産毛がついていることです。産毛ごと食べてしまうと口にかゆみが出る場合などがあるので、よく流水でこするように洗って取り除きましょう。気になる場合は野菜洗い用のスポンジやブラシなどを使用するとより安心です。

桃の旬は夏ですが、早いものでは梅雨の時期から出回るものや、初秋まで楽しめる品種もあります。
9月にもたくさんの品種が収穫期を迎えるので、食べ比べてみても面白いですよ。

Text by はむこ/食育インストラクター

関連レシピ

カテゴリ