「おにぎりをイメージして下さい」と言われたら、多くの人が思い浮かべるのが三角形の形をした白米に海苔を巻いた図でしょう。日本で暮らしていれば、コンビニやスーパーなどのごく身近な場所で、海苔を巻いたおにぎりを日常的に目にします。 今回はそんな、おにぎりに欠かせない海苔のお話です。
【古くから食べられていた「海苔」】
海藻を日常的に食べる食文化を形成するには、海に面する地形であることが最重要です。そのため、海藻を養殖・加工して作られる海苔は、世界の中では比較的希少な食品です。近年は寿司に続き、おにぎりが世界的なブームの兆しを見せているので、海苔の認知度は高まっていますが、日常的に食べるとなると、日本や韓国など一部の国に留まります。日本では古くから、海苔を含めた海藻類をよく食べていて、中でも昆布などは神への奉納品として扱われるほど神聖視されました。そして、海苔も日本の食文化の形成にも関わる大事な食品だったことが明らかになっています。例を挙げると、飛鳥時代の大宝律令(701年制定)には、税として納める食品の一つにアマノリの記述があり、その時代にはすでに貴重な品であったことが伺えます。
庶民の暮らしに海苔が広まったのは、江戸時代に入って養殖が本格化してから。品川の漁業者が海苔の養殖方法を発明し、その方法が全国に広まったことで、海苔の生産量が飛躍的に増えたのだそうです。それまでは穫った海苔をちぎって干す、簡単な加工をしていましたが、この頃に板海苔も作られるようになり、一般化したそうです。
【海苔にはどんな栄養があるの?】
海苔は他の海藻類と同じく低カロリーでヘルシーな食品です。また、葉酸やビタミンB12などの貧血予防に役立つ栄養素も多く含むので、貧血になりやすい人におすすめです。血液のもとになる鉄を多く含む、赤身の多い肉や赤身魚と一緒に食べると効率的です。また、食物繊維が多いので、腸内環境の改善に役立ち、便秘や肌荒れの予防が期待できます。ただし、あまりに多量に食べると消化不良を起こすので、少量ずつ定期的に召し上がるのがよいでしょう。
海苔は日本人にとっては、普段の食事にも歴史的にも、なくてはならない食品の一つです。
これからもぜひ食べ続けたいですね。
Text by はむこ/食育インストラクター
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