
「ビールはプリン体が多くて痛風になるから飲み過ぎないようにしている」など、お酒を好んでいる方なら、一度はこんな言葉を耳にしたことがあるのでは? しかし、プリン体を摂ると一体どうして痛風になるのかというと、意外と説明しづらいですよね。今回はそんなプリン体のお話です。
【プリン体とは?】
プリン体とは、細胞のなかにある核酸を構成する成分(アデニン・グアニンなど)の総称です。つまり、どんな人でも必ず体内にプリン体をもっています。病原菌のように、体の外からやってきて痛風を引き起こす存在ではありません。
では、プリン体そのものが悪いもののよう言われるのはなぜなのでしょう。それは、細胞が生まれ変わる時に、プリン体は肝臓で分解され、尿酸へと変化するからです。体内の尿酸が多くなり過ぎると、尿酸は体内で結晶化し、関節炎を引き起こして凄まじい激痛…痛風の症状になる場合があります。
このため、プリン体が悪いものだと誤解されてしまうようです。
【痛風にならないためには】
プリン体は細胞の成り立ちに関わるものなので、全ての食品に含まれています。プリン体を摂らないようにするのは不可能といってよいでしょう。また、レバー・干物・魚卵など、プリン体を多く含む食品はありますし、アルコール類は体内の尿酸値を上げることがわかっていますが、それらを食べないようにすれば痛風にならないわけではありません。
もちろん、尿酸値などをもとに医師・管理栄養士から栄養指導を受けている場合なら、プリン体の制限は必要です。
しかし、今のところ健康体なら、プリン体だけを気にするよりも、日々の生活習慣を見直すことでリスクを低減できます。
1.暴飲暴食を控える。
2.適度な運動を取り入れる。
3.食事全体の栄養バランスを整える。特にビタミンCや葉酸など、体内の尿酸量を軽減させる栄養素を不足なく摂る。
4.尿酸は尿として排出する機能が体に備わっているので、排尿を妨げないように水分補給をしっかり行う(一日あたり1.5L~2Lの水分が必要です)
痛風にならないためにはこれらのポイントを忘れないようにしたいものです。
お酒が好きな方なら、痛風は身近に感じられるかもしれませんが、プリン体だけに気を付ければ大丈夫なわけではありません。
おつまみに新鮮な野菜や果物を取り入れたり、飲酒した時はもちろん、普段から水分補給を欠かさないことなども心がけてお酒を楽しんでくださいませ。
Text by はむこ/食育インストラクター
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