
長い歴史を持つ洋菓子の起源は定かではありませんが、紀元前6000年ごろには果実やはちみつなどの甘味を楽しんでおり、それがお菓子の原点とされています。そこから長い時間を経て、世界各国でさまざまなおいしいお菓子が誕生しました。 皆さんが何気なく食べている洋菓子。その名前の由来や起源をご存知ですか?
【身近な洋菓子の名前の由来】
■シュークリームフランス語では、「chou à la crème(シュー・ア・ラ・クレーム)」、英語では「cream puff(クリーム パフ)」と呼ばれています。
「chou」はフランス語でキャベツを意味し、生地が膨らんだその見た目がキャベツに似ていることからこの名がつけられました。
シュー菓子の原形は、生地を揚げて膨らませた揚げ菓子「ベニエ・スフレ」とされています。16世紀中頃、イタリアの富豪の娘がフランスの王家に嫁ぐとき同行した菓子職人によりフランスに伝えられたと言われています。
■プリン
プディング(pudding)は蒸し料理のことを指す言葉です。
16世紀頃、ある船の料理人が、「卵・小麦粉・パンくず・肉の脂身」など、あり合わせの材料を混ぜて味付けし、蒸し焼きにしたものがプリンの始まりと言われています。
次第に一般家庭にも広がり、卵と牛乳で作ったカスタードプディングが誕生しました。日本には江戸時代後期から明治初期にイギリスから伝わったと言われています。
■ドーナツ
生地の意味をもつ「dough(ドゥ)」とナッツ(nuts)がその名の由来です。
古くからオランダの家庭では「オリークック」と呼ばれる中央にクルミをのせた揚げ菓子を作り、食べていました。17世紀、イギリスの清教徒がオランダに滞在したときにその製法を覚え、その後アメリカに持ち込んだと言われています。
もともとは穴が空いていなかったドーナツ。クルミが手に入らなかったから穴をあけた、生焼けを防ぐために穴をあけたなど、定番の形状になったのには、諸説あります。
■シフォンケーキ
シフォン(chiffon)は英語で「薄い絹織物」を意味します。その名の通り、非常に軽く、ふわふわとした食感の生地が特徴のお菓子です。
その発祥は1920年代のアメリカ。料理愛好家のハリ―・ベーカーが卵白のみを使って作る「エンゼルフードケーキ」をもとに考案しました。その後、レシピがアメリカの大手食品会社に売却されたことから、レシピが広まり、1980年代に日本にも伝わりました。
■カヌレ
フランス・ボルドー地方の焼き菓子で、正式には「cannelè de bordeaux(カヌレ・ド・ボルドー)」と言います。カヌレはフランス語で「溝のある」という意味で、釣鐘型に縦の溝があるカヌレ型で焼くのが特徴です。
諸説ありますが、ボルドー地方の修道院で16~17世紀頃に作られた説が有名です。
あの独特のカリッとした食感は型に蜜ろうを塗っているから。1990年代後半に1度ブームが起こり、ここ数年またブームが来ています。
普段何気なく食べていた洋菓子も名前の由来や起源を知ることで、よりおいしく楽しくいただけますね。
Text by まち/食育インストラクター
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