
厚生労働省は、健康づくりの指標「健康日本21」で、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するために「1日野菜摂取量350g以上」を推奨しています。 これは、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン(ビタミンA・C・Eなど)の適量摂取が期待される量です。 現状は、厚生労働省「国民健康・栄養調査」(令和4年)によると、20歳以上の野菜摂取量の平均値270.3gと直近10年間で男女とも減少しています。野菜が健康に良いとわかっていても、意識しなければなかなか食べられないものです。
【野菜350gってどのくらいの量?】
副菜に含まれる野菜の量は、小鉢や小皿で約70gです。例えば、ほうれん草のお浸しやきゅうりとわかめの酢の物、ひじきの煮物など5皿分食べれば70g×5皿分=350gの野菜に相当することになります。
また、野菜炒めのような大きめの皿に盛られた野菜料理は、1皿分で小皿2皿分として数えられます。
現状の平均値は270.3g なので、あと小鉢や小皿を1皿分程度増やすことで、目標値に近づきます。いつもの食事に「プラス1皿」を意識したいですね。
【野菜をたくさん食べるメリット】
野菜はビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富です。ビタミン(A・B・C・D・E・K・葉酸など)やミネラル(カルシウム・カリウム・鉄など)はエネルギーそのものにはなりませんが、体内の働きを正常に保ったり、ほかの栄養素の働きをサポートしてくれます。健康を維持するために大切な栄養素で、体内でほとんど合成できないため、毎日の食事から摂る必要があります。
また野菜をたくさん食べる人は脳卒中や心臓病、がんにかかる確率が低いというデータもあります。
特にカリウムは、余分なナトリウムを体外に排出するので、高血圧の予防にもなります。しかし、腎臓病を患っている人は、カリウムの排泄が十分にできないことがあるので注意が必要です。カリウムは水溶性なので茹でることで流出します。調理の工夫で野菜を食べることはできますが、食べる際には主治医に相談してください。
ビタミンKは、カルシウムの吸収を高めて骨や歯を丈夫にします。ただ心臓病で頻繁に使用される抗凝固薬であるワルファリンの効果を弱めるため、こちらも同様主治医の指示に従ってください。
野菜・海藻・きのこ類に含まれる食物繊維は、食後の血糖上昇を抑制し、血清コレステロールの増加を防いだり、腸内環境を整え便秘解消に役立ちます。その他、野菜・海藻・きのこ類には、糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB群やカルシウムの吸収を高めるビタミンDなども豊富です。低エネルギー食品なので、食事はじめに十分摂取し、胃のスペースを占めておくと食べ過ぎを防止でき、ダイエットにも一役買ってくれます。(食事の10分前くらいに食べるのがおすすめです。)
いかがでしたか?
野菜の摂取量を増やすことはそう難しくはないはず!
健康維持のためにも、ぜひ今日から「副菜5皿」を目指して野菜を意識してとってくださいね。
Text by くまこ/食育インストラクター
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