
ふっくら炊きあがったばかりの温かいご飯を食べる瞬間は、何物にも代えがたい満足感を与えてくれるものですよね。その一方で、冷たいご飯は「冷ご飯」と呼ばれ、あまり歓迎されない印象があります。 しかし、そんな冷ご飯にも驚くべき効果があるのです!
【「レジスタントスターチ」とはどんなもの?】
今日の日本人が主食としているジャポニカ米は、甘みや粘りが強く、ご飯だけを食べてもしっかりと味を感じられます。そして、米は精米すると栄養が体に吸収されやすくなり、速やかにエネルギー補給ができるのが魅力です。そんなお米の味を決める重要な要素のひとつが、温度です。米に含まれるでんぷんは炊くことでα化(糊化)が進み、ほどよい粘りとやわらかさが生まれます。
そのままの状態が保たれれば良いのですが、炊き上がってから時間が経つにつれ、米から水分が蒸発していく「老化」が起こります。すると、味や食感も悪くなっていくので、「冷ご飯」はあまり歓迎されないのですね。
しかし、そんな冷ご飯から得られる、特別な成分があるのです。それがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)です。
レジスタントスターチは人間の体で消化されにくいため、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、食物繊維と似たような働きをして腸内環境の改善を助けます。
また、吸収しにくいことから血糖値の急上昇も抑えられるので、生活習慣病が気になる方にも役立ちます。
レジスタントスターチは4℃ぐらいの温度で一番増えるとされています。かなり低い温度のように思えますが、冷蔵庫から出したばかりのご飯はこのぐらいの温度なので、意外と身近な条件です。
しかし、冷たいご飯をそのまま白米として食べるのは抵抗があるかもしれません。そんな時は、お寿司やおにぎりにするのがおすすめです。これらの料理なら、美味しく食べながらレジスタントスターチを摂ることができます。
炊き立ての温かいご飯と比較すると、どうしても味で見劣りしてしまうことのある冷ご飯。
しかし、冷ご飯から摂れるレジスタントスターチの存在は、見逃せないポイントのひとつです。
冷ご飯といえど、体のために良い成分があることを覚えておいてくださいね。
Text by はむこ/食育インストラクター
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